仏マクロン新大統領は就任翌日の15日、初の外遊として独ベルリンを訪問し、同国のメルケル首相と会談した。両首脳は英国の離脱決定で揺れるEUの結束強化に向けて、両国が協力していくことを確認。メルケル首相はマクロン大統領が掲げるユーロ圏の機構改革に理解を示し、必要となるEU基本条約の改定に応じる用意があることを明らかにした。
メルケル首相は会談後の共同記者会見で、両首脳がEUは英国の離脱に対応するだけでなく、EUとユーロ圏の統合深化に取り組んでいく必要があるとの認識で一致したと発言。その実現に向けた中期的な行程表を両国が共同で策定することで合意したことを明らかにした。
マクロン大統領はユーロ圏の改革として、EU予算とは別にユーロ圏共通の予算を創設することや、ユーロ圏を代表する財務相という新ポストを設けることなどを提唱している。これに関してドイツでは、行過ぎた改革で、EU基本条約の改定も必要となるため非現実的として、批判的な動きが出ていた。
マクロン大統領は今回の首脳会談で、ユーロ圏各国が単独での資金調達が困難となっているユーロ参加国を支援するため共同で債券を発行する「ユーロ債」構想については、ドイツの意向を尊重して否定的な意向を表明。これによってメルケル首相から改革への理解を取り付け、同首相は「道理にかなうものであるのなら、条約改正は可能だ」と述べた。