ドン・エナジー―石油開発部門を売却―

洋上風力発電で世界最大手のドン・エナジー(デンマーク、フレゼリシア)は24日、石油・ガス開発部門をスイス化学大手のイネオスに売却することで合意したと発表した。再生可能エネルギー事業に特化する戦略に沿ったもので、売却額は10億5,000万ドルに上る。

ドン・エナジーは総合エネルギー企業で、主力の風力発電のほか、北海で石油・ガス開発を続けてきた。2016年の生産は日量10万バレルだった。

しかし、同社は脱化石燃料を掲げており、昨年に石油・ガス事業からの撤退と、発電での石油、ガスの利用中止を表明。2月には石炭火力発電事業から撤退し、バイオマス発電に切り替えると発表していた。ポールセン最高経営責任者(CEO)は声明で、今回の石油・ガス開発部門売却によって「純粋な再生可能エネルギー企業への変革が完了した」と宣言した。

イネオスはこのところ、買収を通じて石油・ガス開発事業を拡大している。同社はドン・エナジーに対して、取得する油田の開発状況や製油所の業績に応じて最大2億5,000万ドルを支払うため、これを含めた取引額は最大13億ドルに膨らむ可能性がある。

デンマーク企業では、コングロマリット(複合企業)のAPモラー・マースクが昨年9月、石油部門を分離し、経営資源をコンテナ海運世界最大手のマースク・ラインを中核とする運輸・物流部門に集中することを決定。石油については、ドン・エナジーの同部門と合併する形で切り離す方針を固め、交渉を進めたが、条件で折り合わず実現に至らなかった経緯がある。

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