欧州委員会は5月29日、仏電力最大手のフランス電力公社(EDF)が仏原子力大手アレバの原子炉部門を買収する計画を承認したと発表した。競争上の問題はないと判断し、無条件で認可した。
EDFは2015年6月、アレバの原子炉部門アレバNPが100%を出資して新設する原子炉建造子会社の株式の最大75%を取得することで合意していた。同子会社の評価額は25億ユーロ。アレバも15%を出資する。
2001年に設立されたアレバは、世界的な原子力企業として順調に業績を伸ばしていた。しかし、福島第1原発の事故で脱原発の動きが広がり、受注が落ち込んだことや、フィンランドなどで建設している次世代の加圧水型炉(欧州加圧水型原子炉=EPR)の技術トラブルなどで経営が急速に悪化し、赤字が急激に膨らんだ。こうした状況を受けて、同社に87%を出資する仏政府は2015年、原子炉事業をEDFの傘下に置く再編計画を発表。これに基づいてEDFが同事業を買収することになった。
仏政府は中核の原子炉事業から徹底し、核燃料事業などに集中することになるアレバを支援するため、45億ユーロを注入する計画。欧州委は1月、同支援を承認していた。