欧州委が米衣料品ゲスを調査、電子商取引で競争法違反の疑い

欧州委員会は6日、米衣料品大手ゲス(GUESS)が域内の国境をまたいだ電子商取引を妨げている疑いがあるとして、EU競争法に基づく本格調査を開始したと発表した。欧州委はゲスが小売店に対し、域内の他の国の顧客に商品を販売できないようにしている可能性があるとみている。今後の調査では、ゲスと小売店の契約に競争制限的な条項が盛り込まれていないかなどが焦点となる。

欧州委のベステアー委員(競争政策担当)は声明で、「欧州委はゲスが小売店との取り決めに基づき、国境をまたいだオンライン取引を制限していることを示す情報を入手した。単一市場の重要なメリットのひとつは、EU市民が域内のどこからでも、より有利な条件で買い物ができる点だ。ゲスの商慣行によって単一市場における自由な商品の流通が不当に制限されていないか詳しく検証する」と説明している。

EUでは国境をまたいだオンライン取引を制限する商慣行を排除するため、事業者が「ジオブロッキング(地理的制限)」を設け、消費者の居住地によってサービスを制限したり、同じ商品を不当に高い値段で販売するといった差別的行為を禁止する法律の制定に向けた議論が進められている。

欧州委は今年2月、家電製品、ビデオゲーム、ホテル予約の3分野で、国境をまたいだオンライン取引が不当に制限された可能性があるとして、欧・米・アジアの計15社に対する競争法違反の調査を開始した。5月には約2年に及んだ電子取引事業者に対する調査の結果をまとめ、コンテンツ配信業者の約6割が著作権保有者との契約に基づいてジオブロックを設定し、利用者の居住地によってサービスに制限をかけているなどとする報告書を公表。電子商取引の分野で競争制限的な商慣行が増えているとして、調査を拡大する方針を明らかにしている。

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