自動車世界最大手のフォルクスワーゲン(VW)が16日発表した5月のグループ販売台数は前年同月比3.1%増の89万8,700台となり、2カ月ぶりに1年前の水準を上回った。すべての主要地域で販売が拡大。主要ブランドもアウディを除いて増加した。
伸び率が最も大きかった地域は前月に引き続き中東欧で、16.1%増の6万5,800台に拡大。ロシアは16.6%増えて1万5,400台となった。中東欧以外では南米も14.6%増の4万3,400台と2ケタ台の伸びを記録した。
西欧は32万7,700台で4.7%増加した。北米は1.1%増の8万4,300台で、米国は3.9%増の5万4,300台だった。同国ではVWブランド乗用車の新SUV「アトラス」の販売を5月中旬に開始し、月末までに1,600台を顧客に引き渡した。VWは米国でSUVの需要が増えているにもかかわらず長年、中型セダン「パサート」しか現地生産してこなかったことから、販売が低迷。起死回生に向けて北米市場専用車アトラスの生産をテネシー州チャタヌーガ工場で昨年末に開始した。
アジア太平洋は0.9%増の34万4,700台。主力の中国は31万9,500台で、2.5%増加した。
ブランド別でみると、乗用車のセアト(11.9%増の4万2,600台)とポルシェ(10.4%増の2万2,300台)、商用車のスカニア(13.7%増の7,700台)とMAN(13.1%増の9,600台)で2ケタ台の伸びを記録。VWブランド商用車は7.8%増の4万3,100台、VWブランド乗用車は3.5%増の51万3,500台、シュコダ(乗用車)は2.4%増の9万9,100台だった。
高級車アウディは2.8%減の15万9,600台となり、これまでに引き続き落ち込んだ。中国ディーラーの販売ボイコット問題はようやく解決したものの、販売増には至らなかった。
1〜5月のグループ販売台数は前年同期比0.1%増の423万4,900台と小幅な伸びにとどまった。主力の中国が3.3%減の151万700台と振るわなかったことが響いた。中欧は12.9%増加。このところ回復傾向にある南米も9.4%増と好調だった。西欧は1.9%増、北米は2.8%増だった。
ブランド別ではアウディ(5.9%減)とVWブランド乗用車(0.4%減)を除いてすべて増加した。セアトが13.9%増と特に好調だった。