ティッセンクルップ―鉄鋼事業から撤退か―

鉄鋼系複合企業の独ティッセンクルップ(エッセン)が伝統ある鉄鋼事業から撤退するもようだ。同社は現在、鉄鋼事業の合弁化に向けてタタ製鉄と協議中。合弁で成立する新会社には50%未満しか出資しない考えという。独経済紙『ハンデルスブラット(HB)』が同社幹部の情報として3日報じた。ティッセンクルップは報道内容へのコメントを控えている。

鉄鋼業界では世界的な供給過剰と安価な中国製品の大量輸出が響いて、各社の業績が悪化している。ティッセンクルップでは鉄鋼事業が財務の大きなリスク要因となっていることから、連結対象から外したい考えだ。

HB紙によると、同社のハインリヒ・ヒージンガー社長は今月中にもインドを訪問してタタ・グループのナタラジャン・チャンドラセカラン会長と協議し、取引の詳細を取り決める。鉄鋼事業の分離を9月までに決議する計画だ。

タタとの取引が実現しない場合は、部分売却ないし新規株式公開(IPO)を通して鉄鋼事業を同社本体から切り離す。手元にとどめる選択肢はないという。

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