賃金据え置きの時短勤務、金属労組が次期労使交渉で要求の方向

自動車・電機産業の被用者が加盟する金属労組IGメタルは今秋に始まる次期労使交渉で、賃金据え置きで労働時間を一定期間短縮する権利を認めるよう雇用者団体に要求する方向だ。ワークライフバランスを重視する就労者が増加していることを踏まえたもの。組合内で今後、詳細を検討したうえで、要求項目として正式に採用する。

IGメタルは幅広い業界の7,000社強で働く被用者68万人以上を対象に1月にアンケート調査を実施。その結果、被用者の関心の重心が労働時間の短縮から“時間の融通が利く”など私生活との両立へと移行していることが分かったことから、被用者にとって“柔軟性の高い労働時間”を要求していく。各地の労使交渉委員が参加したIGメタルの6月下旬の会議では、例えば賃金を据え置くか減少幅を抑制したうえで週労働時間を35時間(西部地区。東部地区は38時間)から28時間へと引き下げる権利を最大2年間にわたって認めるよう雇用者側に要求することが議論された。

介護や子育てを踏まえた要求で、IGメタルのイェルク・ホフマン委員長は「被用者は私生活に適した労働時間を望んでいる」と強調した。会社が求める労働時間に被用者が適応するのでなく、被用者のニーズに労働時間を適合させるという考え方だ。

これに対し金属雇用者団体ゲザムトメタルは、専門人材の不足が深刻化している現状を指摘。労働時間を短縮する権利が認められれば、人材不足が一段と悪化するとして拒否の構えを示しているが、同労組は人材を確保するためには“家庭生活に優しい労働時間”が必要だと反論している。

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