独自動車大手に大規模なカルテル疑惑、ディーゼル排ガス処理分野も対象に

ドイツの大手自動車メーカーが長年にわたって違法なカルテルを締結していた疑いが浮上している。最大手フォルクスワーゲン(VW)が独禁当局に通報した際に提出した文書をもとに週刊誌『シュピーゲル』が21日に報じたもので、戦後ドイツ最大級のカルテル事件に発展する可能性がある。有害物資である窒素酸化物(NOx)の排出量が多いことから現在、走行規制論議の対象となっているディーゼル車の排ガス処理の分野でも極秘の取り決めを行っていたとみられ、自動車業界に対する風当たりは一段と強まりそうだ。関係各社は報道内容へのコメントを控えている。

カルテルに関与していたとされるのはVWと同子会社のアウディ、ポルシェ、および高級車大手のダイムラー、BMWの5社。同誌によると、5社は1990年代から製品開発のすべての分野で取り決めを行っていた。報道ではガソリン・ディーゼルエンジン、ブレーキ、クラッチ、トランスミッション、カブリオレのルーフなどが挙げられている。このほか、サプライヤーの選択、部品調達価格に関しても情報を交換していた。カルテルには計60以上の分野別グループがあり、合わせて200人以上の社員が関与していた。

ディーゼル車の排ガス処理の分野では、排気ガス中のNOxを浄化するために用いるアドブルー(尿素水溶液)のタンク容量を小さくすることを2006年以降、取り決めていた。容量を小さくしたのは、大きいとコストがかさむためだ。

VWが独禁当局に提出した文書には同社と子会社アウディ、ポルシェがカルテルに関与していた「疑い」があると記されている。ダイムラーも当局に通報を行ったという。カルテルを通報すると制裁金を免除・軽減されるルールがある。

同カルテル発覚の発端となったのは、鉄鋼カルテルの調査の一環で行われたVWに対する立ち入り調査だ。この調査で自動車大手がカルテルを締結していたことを示唆する証拠が押収された。VWはその2週間後、連邦カルテル庁に通報した。

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