債券やデリバティブ(金融派生商品)の電子取引プラットフォームを運営する米トレードウェブは3日、欧州事業の中核拠点をオランダのアムステルダムに設置する方針を明らかにした。同社は現在、ロンドンに欧州唯一の拠点を置いているが、英国がEUから離脱すると域内で自由に営業できる「単一パスポート」を失う可能性が高いため、大陸欧州で新たな拠点の選定を進めていた。
ニューヨークに本社を置くトレードウェブには金融情報サービス大手トムソン・ロイターと、11の大手金融機関が出資している。トレードウェブのエンリコ・ブルーニ欧州・アジア事業担当責任者は欧州事業の拠点としてアムステルダムを選定した理由について、規制面やビジネス環境、ロケーション、言語などさまざまな基準に基づいて総合的に判断したと説明。オランダの金融当局がEU内で強い発言権を持っていることも重要なポイントになったとつけ加えた。
ブルーニ氏によると、トレードウェブはすでにオランダ金融市場庁(AFM)に新会社設立の認可を申請済み。ただ、英国のEU離脱後もロンドンオフィスは維持する方針という。
英国のEU離脱を2019年3月に控え、ロンドンに欧州本社を置く金融機関は離脱後も確実に単一パスポート制度の適用を受けるため、EU域内に中核拠点を移す必要に迫られている。フランクフルト、ダブリン、パリ、アムステルダムなどがロンドンに代わる「欧州金融ハブ」の地位を狙っており、大手金融機関の誘致合戦が激しさを増している。