ユーロ圏の機構改革具体案、独総選挙後に発表=仏大統領

フランスのマクロン大統領は8月29日、EUの統合深化に向けたユーロ圏の機構改革の具体案を9月の独総選挙後に発表する方針を打ち出した。続投が濃厚な独メルケル首相と連携し、ユーロ圏共通予算の創設など機構改革を主導していきたい考えだ。

マクロン大統領はユーロ圏の改革として、EU予算とは別にユーロ圏共通の予算を創設することや、ユーロ圏財務相会合の議長に代わる「ユーロ圏財務相」の創設などを提唱してきた。これに関してフランスと並ぶユーロ圏の中核国であるドイツでは、行過ぎた改革で、EU基本条約の改定も必要となるため非現実的として、批判的な動きが出ていたが、マクロン大統領は就任直後の5月中旬に行ったメルケル首相との首脳会談で改革への理解を取り付けた。

これを受けて欧州委員会は5月末、EUの経済通貨統合(EMU)の深化をめぐる議論のたたき台となる政策文書を発表し、ユーロ圏の共通予算、財務相、財務省、EU版国際通貨基金(IMF)の「欧州通貨基金」の創設などを提案した。2025年までの実施を目指し、EU加盟国に議論を進めるよう働きかけている。

マクロン大統領とメルケル首相は28日に会談し、ユーロ圏の機構改革での協力を改めて確認。マクロン大統領は29日、フランスの各国駐在大使の年次会合で行った演説で、EUは英国の離脱問題に忙殺されてはならないと述べ、結束強化に向けて機構改革を推進する必要性を強調。9月24日の独総選挙が終わってから、10項目に及ぶ具体的な提案を行う意向を表明した。

一方、メルケル首相も29日、ユーロ圏の金融安全網である欧州安定メカニズム(ESM)に代わる欧州通貨基金の創設について「良いアイデアだ」と述べるなど、浮上している機構改革案の多くを支持する方針を示した。

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