ミュンへン工科大学、アフリカ向けの電気自動車を開発=IAA

ドイツのミュンへン工科大学(TUM)は、9月のフランクフルト国際モーターショー(IAA)で、9月12~15日までの4日間、国内のパートナーやアフリカ諸国と協力して開発している電気自動車「aCar」の新しいプロトタイプを出展する。アフリカのインフラ整備が行き届いていない人里離れた場所での輸送手段の確保を目指しており、地方における自律した生活を支援し、人口の都市集中を防ぐ狙いがある。

開発中の車両は2人乗りの全輪駆動車。全長3.7メートル、幅1.5メートル、高さ2.1メートルで、車両重量は800キログラム、積載重量は1トン。ピックアップトラックのようなデザインで、後部の部品交換により、旅客輸送にも貨物輸送にも活用できるモジュール構造とした。様々な用途に対応できる車両の開発を目指しており、充電した電力を他の機器に供給することもできるようにする。

航続距離は最大80キロメートルで、最高速度は時速60キロメートル。8キロワット(kW)の電気モーター2基と20キロワット時(kWh)車載電池を搭載する。

一般家庭の電源(220ボルト)ではフル充電に7時間ほどかかる。車両の屋根には太陽光発電設備を設置しており、太陽光発電で航続距離を伸ばすこともできる。

■ ガーナで実証試験、現地生産が目標

2016年5月に完成した最初のプロトタイプは、ドイツで試験走行した後、2017年7月にガーナへ輸送し、現地での実証試験を行った。気温や湿度の高さが電気駆動装置にどのように影響するかなどを試験する目的があったが、これまでのところ順調に機能しているという。

同プロジェクトでは、「aCar」の現地生産を目指している。価格を1万ユーロ以下に抑える計画。同計画の実現に向けて新会社「Evum Motors」を設立した。まずは欧州のモデル工場で生産し、現地で生産に携わる工員の研修も行う予定。

同プロジェクトでは、ミュンヘン工科大学の車両技術、成形技術・鋳造学、産業デザインなど様々な分野が協力している。また、国内の他の大学や、産業パートナーも参加している。車両コンセプトの開発では、ナイジェリア、ガーナ、ケニア、タンザニアの学術パートナーと協力した。

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