エアバス―ボンバルディアの「Cシリーズ」買収―

欧州航空宇宙大手のエアバス・グループ(蘭ライデン)は17日、カナダ同業ボンバルディアから小型機「Cシリーズ」を手がける子会社Cシリーズ・エアクラフト・リミテッド・パートナーシップ(CSALP)の過半数資本を取得することで合意したと発表した。エアバスはこれにより、将来性の高い100~150席装備の航空機事業を強化する。ボンバルディアは財務を圧迫いてきた大きなリスク要因から解放されることになる。

エアバスはCSALPの資本50.01%を取得する。これによりCSALPの他の株主の出資比率はボンバルディアで62%から約31%、カナダのケベック州投資会社(IQ)で38%から約19%へと低下する。CSALPは開発費用の膨張で巨額赤字に陥っていることから、エアバスは過半数資本を無料で取得し債務も引き受けないものの、Cシリーズ事業の強化に向けて投資を行う。また、ボンバルディアは取引完了後3年間にCSALPに資金不足が発生した場合、最大7億米ドルを引き受ける。

エアバスはCSALPのケベックにある本社とメイン工場を維持する。それとともに米アラバマ州モービルにある自社工場を拡張し、Cシリーズを米国でも生産する。

ボンバルディアはCシリーズ事業の赤字拡大を受けて昨年、IQから10億米ドルの資金注入を受け、同事業を合弁会社(CSALP)へと転換した。

Cシリーズは100~150席の小型旅客機で、昨年から引き渡しが始まった。これに対し競合の米ボーイングは政府補助金を受けて不当廉売しているとして米国政府に対策を要請。米商務省は9月下旬、Cシリーズに220%の相殺関税を課すことを仮決定した。相殺関税が確定するとCシリーズは同国市場から実質的に締め出されることになる。

エアバスはこの事情を踏まえ、Cシリーズを米工場で生産する意向を表明した。これにより相殺関税を回避する考えだ。

100~150席の旅客機は将来性が高く、世界需要は今後20年間で計6,000機を超えると予想されている。ボーイングはCシリーズが「ボーイング737」と競合することから、相殺関税を要求した。

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