独自動車大手ダイムラーのボード・イッバー取締役(財務担当)は20日、同社を含む独自動車大手5社が違法なカルテルを結んでいた疑いが持たれている問題で欧州連合(EU)の欧州委員会に制裁免除を申請したことを明らかにした。メディア報道を追認した格好。EUにはカルテルを最初に通報して摘発に協力した企業に対し制裁を全額免除するルールがあることから、これを活用し財務リスクを回避する考えだ。
ダイムラー、BMW、フォルクスワーゲン(VW)、アウディ、ポルシェの5社は1990年代から幅広い分野でカルテルを締結していたとみられる。『シュピーゲル』誌の7月の報道で疑惑が浮上した。
『南ドイツ新聞(SZ)』によると、最初に通報したのはダイムラーで、2014年の時点で欧州委に内部告発の形で通報した。VWも16年になって通報したとされる。
欧州委は現在、この問題の予備調査を実施している。イッバー取締役によると、同委が正式調査に切り替えるかどうかは定かでないものの、ダイムラーは念のために制裁免除申請を行った。現時点で引当金計上の必要はないとしている。
一方、BMWのミュンヘン本社には今週、同カルテルの予備調査の一環で欧州委の調査官が訪問した。同社がメディアに対し20日、明らかにしたもので、欧州委もBMWの名を伏せながらもドイツの自動車メーカー1社を対象に「抜き打ち調査」を行ったと発表した。
欧州委の調査官はBMWで書類のコピーをとるとともに、社員から事情を聴取した。BMWの広報担当者は、欧州委は同社が排ガス処理分野で不正を行ったとはみていないと指摘。「この問題で独禁法抵触の可能性と違法な排ガス操作を明確に区別することはわが社にとって重要だ」と述べ、独禁法に抵触した可能性は排除できないものの、意図的に不正を行ったことはないとの認識を示唆した。
BMWはカルテル疑惑の発覚後、社内チームを立ち上げ独自調査を進めている。