欧州委が英税制を調査、租税回避防止策めぐり

欧州委員会は26日、多国籍企業による特定の取引を租税回避防止ルールの適用除外とする英国の税制が、EUの国家補助規定に違反する可能性があるとして、本格調査を開始したと発表した。外国子会社を利用した税逃れに対抗するための課税ルールの免除規定が、特定の企業に対する違法な国家補助に当たるかどうか精査する。

欧州委が問題視しているのは、多国籍企業が租税債務を圧縮するため、親会社から低税率あるいは非課税の国の子会社に利益を移転し、租税回避を行うケースに対抗するため、EUが「租税回避対策パッケージ」の柱として導入した「外国子会社合算税制(CFC)」の免除規定。CFCルールにより、EU加盟国に拠点を置く企業が本国の税率と比べて40%未満の第三国に設立した子会社に利益を移転した場合、親会社の所得に合算して課税されるが、英国では2013年、グループ内の別会社の余剰資金を活用する「グループファイナンス」に係る貸付金利を課税対象となる資産性所得から除外する免除規定が導入された。

欧州委はこの除外規定が特定企業に対する優遇措置を禁止したEUの国家補助規定に違反する可能性があるとみている。欧州委のベスタエアー委員(競争政策担当)は「租税回避防止策が目的に反して運用され、特定の企業を優遇することがあってはならない。英国が導入したFCCルールの除外規定がEUの国家補助規定に抵触していないかどうか確かめるため、慎重に調査を進める必要がある」と説明した。

これに対し、メイ英首相の報道官は「英国の税制がEU法に違反しているとは考えていない」と述べたうえで、欧州委の調査に全面的に協力する姿勢を示している。

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