シーメンスが増益確保、製造業のIoT化が追い風に

電機大手の独シーメンスが9日発表した2017年9月通期決算の産業分野の利益(買収などの企業結合に伴い取得した無形資産の償却費用を計上する前のEBITに財務収益を加えた利益)は94億5,300万ユーロとなり、前期比で8%増加した。製造業のモノのインターネット(IoT)化を背景にデジタルファクトリー部門が26%増の21億3,500万ユーロと好調で全体をけん引。火力発電設備部門パワー&ガスと再生可能エネルギー設備部門シーメンス・ガメサの不振が相殺された格好だ。産業分野の売上高は4%増の843億3,100万ユーロで、売上高利益率は前期の10.8%から11.2%へと上昇した。株主帰属の純利益は11%増の60億4,600万ユーロだった。

パワー&ガス部門では火力発電業界と石油・ガス採掘業界向けの設備を手がけている。近年は再生可能エネルギー発電の需要増に反比例する形で火力発電設備市場が縮小。特にガスタービンを用いた大型発電所のニーズが落ち込んでおり、競合の米ゼネラル・エレクトリック(GE)なども苦戦している。業界が抱える過剰生産能力の圧縮は避けられない状況で、シーメンスは現在、事業拠点の統廃合と人員整理を含む再編計画を作成している。ケーザー社長は記者会見で「たとえ痛みを伴うメス入れを意味するとしても、わが社は生産能力を調整しなければならない」と明言した。同部門の新規受注高は前期比で31%減少。最終四半期の7〜9月には前年同期比40%の減益となった。

シーメンスは発電市場の低迷や地政学リスクを踏まえ、同社の18年9月期の実質売上成長率(為替差損と事業売却・買収の影響を除いたベース)が小幅増にとどまるとの見方を示した。製造部門の売上高利益率に関しては11.0〜12.0%を見込む。

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