仏自動車大手PSAの子会社となった独オペルは9日、業績改善計画「PACE」を発表した。PSAとのシナジー効果などを通してコストを大幅に削減し、安定的に利益を稼ぎ出せる体制を構築することが狙いで、可能な限り早く黒字転換を実現。売上高営業利益率を2020年までに2%、26年までには6%へと引き上げる目標だ。
PSAはオペルを米ゼネラル・モーターズ(GM)から8月1日付で取得した。オペルのミヒャエル・ローシェラー社長は同日から100日以内に黒字転換に向けた計画の作成を義務づけられており、今回これを果たした格好。
PSAへの傘下入りに伴うシナジー効果を調達から販売に至るすべての事業過程で引き出す考えで、まずは20年までに年11億ユーロを実現。26年には17億ユーロへと拡大する。シナジー効果が最も大きいのは調達分野で、全体の30%を占める。これに研究開発(25%)、製造(20%)、投資(15%)、販管費(10%)が続く。
具体策としては現在9種類あるプラットフォームを24年までに2つに削減。パワートレインも10種類から4種類へと減らし、開発・生産の簡素化を実現する。20年までに1台当たりのコストを700ユーロ圧縮し、景気悪化で販売台数が年80万台に落ち込んでも損益分岐点を確保できるようにする。
また、利幅の大きい小型商用車の販売を20年までに25%拡大する。欧州域外への輸出にも本腰を入れ、販売先市場を増やす考えだ。これまではGMの戦略を受けて欧州域外での販売が大幅に制限されていた。
オペルはこのほか、24年までにすべてのモデルで電気自動車(EV)ないしプラグインハイブリッド車(PHV)を投入することも明らかにした。まずは20年までに小型車「コルサ」のEVなど4モデルを発売する計画だ。
リュッセルスハイム本社の研究開発(R&D)拠点はPSAグループ全体のグローバルR&D拠点となり、燃料電池、代替燃料、自動運転・運転アシストなどの分野で課題に取り組む。
拠点閉鎖と整理解雇は考えていない。ただ、今回打ち出した業績目標を達成できなければ、痛みを伴う措置が避けられなくなるとみられる。