英中央銀行のイングランド銀行は2日、金融政策委員会で政策金利を過去最低の0.25%から0.50%に引き上げることを決めたと発表した。利上げは景気の拡大が続いてインフレが懸念されていたリーマンショック前の2007年7月以来10年4カ月ぶり。政策金利を引き締めて通貨ポンド安によって加速する物価上昇を抑える。
利上げは9人の政策委員のうち、カーニー総裁を含む7人が支持した。一方、国債などの買い入れによる量的緩和は現在の水準(4,350億ポンド)を維持することを全会一致で決めた。
英国では国民投票でEU離脱を決めた昨年6月以降、ポンド安が進んだ。英中銀は経済の先行き不安を払拭するため、同8月に政策金利をそれまでの0.50%から0.25%に引き下げるとともに、量的緩和の枠を拡大する大規模な金融緩和策に踏み切った。しかし、ポンドの下落による輸入品の値上がりや原油高が重なり、9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.0%上昇し、ほぼ5年半ぶりの高い伸びとなるなど、物価の上昇傾向が想定を超えて強まっていた。
カーニー総裁は記者会見で「利上げに踏み切らなければ物価上昇率を政策目標の2%に保つことが難しいと判断した」と説明した。そのうえで、EUとの離脱交渉に大きな進展がない中、不確実性が経済活動の重荷になっていると指摘。今後の利上げは「緩やかで限定的」なものにとどまるとし、今後の金融政策については経済の状況を見極めながら慎重に検討すると述べた。
世界の中央銀行では米国やカナダが利上げに踏み切ったほか、欧州中央銀行も先月、量的緩和の規模縮小を決めており、金融政策を見直す動きが広がっている。