フランクフルト地方裁判所は2日、商事裁判をすべて英語で行う専門部を来年1月1日付で開設すると発表した。英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)をにらんだ措置で、係争当事者がともに希望すれば、裁判を英語で実施する。地元ヘッセン州政府は人材、物資面で支援する意向だ。
英国は2019年3月末にEUから離脱する計画を打ち出している。これに伴い金融機関はEU事業をロンドンの拠点で展開できなくなることから、EU域内に拠点を新設するなどして事業を移管。引き続きEU事業を行えるようにする考えだ。
フランクフルトはロンドンからの有力な業務移管先で、すでに多くの金融機関が移転を決めている。こられの外資系金融機関にとってドイツ語での裁判は労力、資金面で大きな負担となることから、フランクフルト地裁は商事裁判を英語で行えるようにする。
同地裁のヴィルヘルム・ヴォルフ所長は、「英国のEU離脱後、フランクフルトを国際的な裁判の地として確立させるチャンスがある」と明言。「これまで英国で行われていた国際訴訟がフランクフルトで行われるよう売り込んでいく」考えを示した。
独弁護士協会もドイツの司法競争力を強化するためには英語による商事裁判が必要不可欠とみており、次期政権に対し先ごろ施策を提言した。