スロベニアで12日実施された大統領選挙(任期5年)の決選投票は、現職のパホル大統領(54)が52.9%を得票して再選が決まった。しかし、対抗するシャレツ候補(39)も47.1%と健闘し、来年7月の議会選に出馬する可能性も出てきた。
パホル大統領は、先月22日に行われた第一回投票での再選が確実視されていた。しかし、当選に必要な過半数を得られず、選挙は予想外の決選投票に持ち込まれた。
一方のシャレツ候補は決選投票で47.1%も得票したことに自信を深めている。7年前にコメディアンから政治家に転身し、北部カムニクの市長を務めてきたが、全国区に出馬したのは今回が初めてだった。反既成政党の立場から、首相の権限強化や選挙法改正を含む大幅な政治改革を公約に掲げて選挙を戦った。シャレツ氏は「国民の要請があれば」来年7月の議会選挙に立候補する立場を示している。
大統領選挙の投票率は第一回投票で44%、決選投票でも41.7%にとどまり、1991年の独立以来で最低を記録した。スロベニアの大統領は主に儀礼的役割を担うが、軍最高司令官の地位にあるほか、中央銀行総裁など政府高官の任命権を持つ。ただし、任命にはほとんどの場合、議会の承認が必要だ。
スロベニアでは2011年の議会選以来、政治とは異なる分野の出身者が既成政党に対する抗議票を集める傾向が続いている。今回、シャレツ候補が予想外の健闘をみせたことで、議会選挙に向けてヤンシャ首相の頭痛の種が一つ増えたようだ。