塗料世界最大手のアクゾノーベル(オランダ)と米同業アクサルタ・コーティング・システムズは21日、合併協議を打ち切ったと発表した。これを受けてアクサルタは、日本ペイントホールディングスによる買収に向けた協議を進める。
アクゾノーベルは今年に入って、塗料世界2位の米PPGインダストリーズの買収提案を拒否。PPGが再び買収に乗り出すのを防ぐ意味もあってアクサルタとの合併に乗り出し、10月末に対等合併する方向で協議を行っていることを明らかにしていた。実現すると時価総額が約300億ドルに上る巨大塗料メーカーが誕生するはずだった。
アクサルタをめぐっては、日本ペイントが買収を提案したと報じられ、日本ペイントは21日に「提案を行ったことは事実」とする声明を発表した。
アクゾノーベルとアクサルタは合併断念について、条件で合意できなかったことが理由としているが、アクサルタが日本ペイントから有利な条件での買収を提案されたことで、交渉を打ち切ったとみられている。
アクゾノーベルはPPGによる買収を拒否した際、独立維持に対する株主の支持を取り付けるため、特殊化学部門を切り離して株主価値を高める方針を打ち出していた。同社は同部門の分離を予定通りに進め、得た利益の大半を株主に還元するとしている。