JPモルガン―フランクに新オフィス確保―

米金融大手のJPモルガンが独フランクフルト市で新たなオフィスを借り受けた。英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を見据えた措置で、独拠点を大幅に拡大することになる。独法人のドロテー・ブレシング社長が従業員に宛てた文書をもとに『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。

JPモルガンのフランクフルト拠点は現在、銀行街の「タウヌスビル(Taunusturm)」内にある。従業員数は450人。今回新たに同ビル内に200人が勤務できるオフィスを借り受けた。既存オフィスの面積に100人分のゆとりがあることから、最大300人が同市で新たに勤務できる。

EUには金融機関が域内に拠点を構えていれば全加盟国で事業を展開できる「パスポート」制度がある。銀行や証券会社の多くはこれを活用してロンドンの拠点からEU事業を展開してきたが、英国がEUから離脱するとそれができなくなる恐れが高いことから、ロンドンで行ってきた業務の部分移管に向けて準備を進めている。

JPモルガンでは英国のほか、フランクフルト、アイルランドのダブリン、ルクセンブルクの拠点がパスポートを持っていることから、ブレグジット後はロンドンの業務の一部をこれらのハブ拠点に移管する。フランクフルトは投資銀行分野のEU中核拠点となる見通しだ。

他の米金融大手もフランクフルト拠点の拡充を計画しており、ゴールドマン・サックスは銀行街に建設中のオフィスビル「マリエンタワー(Marienturm)」内に約1,000人が勤務できるオフィスを確保した。同市勤務の社員を現在(約200人)の3倍強の700人へと拡大する。モルガン・スタンレーは2倍の400人、シティは360人から500人強へと増員するもようだ。

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