シーメンスが医療機器部門を来年上期にIPO

電機大手の独シーメンスは29日の監査役会で医療機器部門シーメンス・ヘルシニアーズの新規株式公開(IPO)計画を承認した。上場規模は最大100億ユーロに達するとみられ、ドイツテレコム以来の大型IPOとなる見通しだ。

シーメンスは2014年5月に打ち出した組織再編計画で医療機器部門を中核事業から除外した。同部門は他の事業との関連が薄く、「企業内企業」として運営する方が良いと判断したためで、15年に同部門を有限会社化。16年5月には社名をシーメンス・ヘルシニアーズとした。今後はIPOに向けて株式会社(AG)化する。

IPOは採用基準が厳しいフランクフルト証券取引所の「プライム・スタンダード」で来年上半期に実施する。公募・売出の規模は明らかにされていないものの、最大25%を放出するもようだ。ヘルシニアーズの時価総額は推定400億ユーロに上ることから、上場規模は最高で100億ユーロに達することになる。

ドイツ企業のIPOのなかで最も規模が大きいのは電気通信大手のドイツテレコムが1996年に実施したもので、101億ユーロだった。ヘルシニアーズのIPOはこれに匹敵するもので、プライム・スタンダードの最上位に位置するDAX(ドイツ株価指数)入りが確実視されている。シーメンスもDAXに採用されていることから、親会社と子会社がそろって同指数を構成する企業となる見通しだ。

シーメンスは世界最大の医療機器市場である北米での事業を念頭にヘルシニアーズのIPOをニューヨーク証券取引所で実施することも検討したが、英国の欧州連合(EU)離脱でフランクフルト市場の存在感が高まると予想し、今回の決定を下した。

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