不良債権の電子取引市場創設、ECBが提唱

欧州中央銀行(ECB)は11月27日に発表した金融安定に関する報告書で、ユーロ圏の銀行の不良債権処理を進めるため、不良債権の電子取引所を創設することを提唱した。透明な取引システムを整備し、より多くの投資家を不良債権市場に取り込むことで、取引を活性化する狙いがある。

ユーロ圏の銀行が抱える不良債権は約9,210億ユーロ。貸し出し全体の6.1%に相当する規模だ。これが銀行の貸し渋りを招き、景気回復の足かせとなっている。

ECBによると、ユーロ圏で不良債権を買い取る投資家は極めて少数で、買い手市場となっていることから、銀行は不良債権を安値で手放さざるを得ない状況にある。このため不良債権の取引は停滞しており、過去3年間の取引額は2,000億ユーロ程度にとどまっている。

電子取引所の創設はこうした状況の改善が目的。民間事業者が運営する取引所に不良債権の正確なデータを集め、透明性を確保しながら売買を行うことを想定している。運営事業者には税制上の優遇措置を与える。

ECBは電子取引所の創設によって市場参加者が増え、競争原理が働いて適正価格で不良債権が取引されるようになると利点を強調している。

銀行の不良債権処理をめぐっては、EU加盟国が7月に開いた財務相理事会で、行動計画を採択。各国が資産管理会社(AMC)と呼ばれる不良債権の買い取り会社を設立して処理を進めることや、セカンダリー・マーケット(流通市場)での不良債権売却を拡充する方向で、具体案をまとめることになっている。

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