資金洗浄・テロ資金供与防止指令を改正へ、仮想通貨など規制対象に

欧州議会とEU加盟国は15日、マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与を防止するためのEU指令(2015年制定)を改正し、ビットコインをはじめとする仮想通貨やプリペイドカードなどの電子マネーを新たに規制の対象とすることで合意した。EU全体で資金洗浄やテロ資金対策を強化する取り組みの一環で、仮想通貨取引所などに顧客の身元確認を義務づけ、匿名で取引できないようにすることなどが柱。欧州議会と閣僚理事会の正式な承認を経て現行指令が改正される。加盟国はその後18カ月以内に国内法を整備しなければならない。

ビットコインなどの仮想通貨は国家の枠組みを超えた通貨として注目を集め、手軽さや利便性の高さから急速に流通量が拡大したが、匿名での取引が可能なため、資金洗浄やテロ組織の資金供与などに悪用されるケースが増えている。欧州では15年11月のパリ同時テロと16年3月のブリュッセル連続テロで、ビットコインや電子マネーのプリペイドカードが使われたことが判明。これを受けて欧州委が16年7月、規制強化策としてEU指令の改正案をまとめた。

新ルールの導入によって仮想通貨の取引所やウォレット(保管口座)提供業者は規制当局の監視下に置かれ、ビットコインなどの取引に際して顧客本人の身元確認が義務づけられる。また、疑いのある取引については当局への通報が求められる。一方、プリペイドカードの利用も制限され、身元確認なしで購入できる金額の上限が従来の250ユーロから150ユーロに引き下げられる。

欧州委のヨウロバ委員(法務・消費者・男女平等担当)は欧州議会と加盟国の合意を受け、「現行指令の改正によって仮想通貨取引の透明性が向上し、資金洗浄やテロ資金供与を阻止するための取り組みが大きく前進する」とコメントした。

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