再保険大手の独ミュンヘン再保険が航空保険の英グローバル・エアロスペースを子会社化する。『南ドイツ新聞』が両社への取材をもとに報じたもので、投資家ウォーレン・ バフェット氏が率いる米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイから資本の一部を譲り受ける。取引の成立には独禁当局の承認が必要。
グローバル・エアロスペースの出資比率は現在、バークシャーが60%、ミュンヘン再保険が40%となっている。ミュンヘン再保険はバークシャーから11%を取得し51%に引き上げる計画。
出資2社が今回の取引を行う理由は明らかにされていない。業界関係者は米国が制裁対象国への姿勢を厳格化していることが背景にあるとみている。航空機事故などの保険金をグローバル・エアロスペースが仮に制裁対象国に支払わなければならない状況に陥ると、親会社のバークシャーは自国政府ににらまれる懸念があり、そうした事態を避けるために過半数資本を手放すという見方だ。
グローバル・エアロスペースは保険会社5社のプールを通して保険の引き受けを行っている。航空機は自動車などに比べて数が少ないことから確率の理論値と実際の数値がほぼ同一になる「大数の法則」が十分に働かないうえ、事故発生時の保険金も巨大になるためで、各社はプールの活用で引受け能力を結集することでリスクを分散している。同5社にはミュンヘン再保険とバークシャーのほか、東京海上、三井住友、スペインの保険大手マプレが含まれる。リスクの引き受け比率はミュンヘン再保険が45%で最も高く、これにバークシャーが23%で続く。