欧州議会は17日、再生可能エネルギーの利用促進とエネルギー効率の向上を目的としたEU指令の改正案を賛成多数で可決した。2030年までにEU域内におけるエネルギー消費の35%を再生可能エネルギーで賄うと共に、同年までにエネルギー効率を35%改善するとの目標を盛り込んだ内容。ただ、EU加盟国は昨年12月、エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの比率を少なくとも27%とすることで合意しており、より野心的な目標を掲げる欧州議会との交渉は難航する可能性がある。
EUは地球温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定に基づき、30年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で40%削減するとの目標を掲げている。2つの指令の改正案も目標達成に向けたもので、欧州委員会が2016年11月に提案していた。
改正案によると、30年までに再生可能エネルギーの利用比率を35%に引き上げるとの目標に基づき、加盟国はそれぞれ同年を達成期限とする国別の数値目標を設定する必要がある。ただし、特定の条件下で目標から最大10%の逸脱が容認される。また、エネルギー効率の改善によりEU全体で30年までに35%の省エネを実現するため、加盟国は「PRIMES」と呼ばれるシミュレーションモデルに基づいて国別の目標を設定しなければならない。
改正案にはこのほか、30年までに運輸部門におけるエネルギー消費の12%を再生可能エネルギーで賄うことを加盟国に義務付けることや、21年以降は輸送用燃料としてのパーム油の使用を禁止することが盛り込まれている。さらにサトウキビやトウモロコシなどの栽培作物を原料とする第1世代バイオ燃料(エタノール)の使用を制限し、食糧と競合しない廃棄物、木や草などのバイオマスを原料とした第2世代バイオ燃料の利用を促進する。