CO2の80%削減は可能、追加投資は1.5兆ユーロに=産業連盟

ドイツ産業連盟(BDI)は18日、国内の二酸化炭素(CO2)排出量を2050年までに1990年比で80~95%削減するという政府目標について、80%の削減は可能だとの見解を表明した。政府が適切な措置を取ることを条件としている。95%削減については現実的でないと否定的な見方を示した。

BDIの委託でコンサルティング大手のボストン・コンサルティング・グループ(BCG)とプログノスが作製したリポートによると、現在の政策を続けた場合、50年のCO2排出量は90年比で61%削減される。これ以上の削減を実現するためにはさらなる措置が必要となる。

排出削減率80%を実現するためには、50年までに計1兆5,000億ユーロの追加投資が必要となる。ただ、追加投資の結果、エネルギーやその他のコストが低下することから、ドイツ経済全体の実質の負担額は4,700億ユーロの増加にとどまる。

レポートは激しい国際競争にさらされるエネルギー集約型企業の負担が増えないよう政府が適切な措置を取れば、80%目標を達成できると指摘。また、発電効率などの向上により、エネルギーの国外依存度が低下するメリットもあるとしている。

一方、排出削減率95%の実現に必要な追加投資額は2兆3,000億ユーロと、同80%を8,000億ユーロも上回る。このため他の主要な経済国・地域がドイツと同様の措置を取らない限り実現できないと指摘。現実的なシナリオではないとの判断を示した。95%目標の実現をドイツ単独で強行すると、工場と雇用の国外流失を招き経済力が低下するうえ、CO2の排出国がドイツから国外に移るに過ぎないため世界レベルのCO2排出削減にはつながらないとしている。

BDIは同リポートを踏まえ、ドイツ全体の削減目標を実現するために交通、製造業、電力業など分野別に柔軟性のない削減目標を設定することや、ガソリン車の販売禁止、電動車両の販売比率義務化などを国が上から強く統制することは「誤った方法だ」と指摘。経済成長を損なわない政策の策定・実施を次期政府に要請した。

上部へスクロール