EUの租税回避地ブラックリスト、韓国など8カ国・地域を除外

EUは23日、ブリュッセルで財務相理事会を開き、租税回避対策に非協力的な国・地域を列挙した「ブラックリスト」から、パナマや韓国など8カ国・地域を除外することを決めた。当該国地域が税の透明性や租税回避対策でEU基準に適合するよう、税制の見直しを約束したことを受けた措置。これらの国・地域はEUから制裁を受ける恐れはなくなるが、今後は国名や地域名を公表しない「グレーリスト」に組み込まれ、引き続き監視対象となる。

EUでは加盟国が独自にタックスヘイブン(租税回避地)のリストを作成し、対象となる税法域の監視を行ってきたが、昨年12月の財務相理で初のEU共通ブラックリストを承認した。多国籍企業などによる課税逃れを防止するためタックスヘイブンへの圧力を強めるのが狙いで、17カ国・地域が租税回避対策に非協力的と認定された。

このうちリストから除外されたのは、パナマと韓国のほか、アラブ首長国連邦(UAE)、チュニジア、マカオ、モンゴル、グレナダ、バルバドスの8カ国・地域。これらの国・地域は既にグレーリストに掲載されている47カ国・地域と共に、EU基準に沿った課税ルールへの変更が求められる。

今回の決定をめぐり、欧州議会からパナマをブラックリストから除外したことについて批判の声が上がっている。欧州議会経済・金融委員会のマルクス・フェルバー副委員長は「世界で最もよく知られたタックスヘイブンの1つであるパナマをリストから外すことは大きな間違いだ。税逃れ防止の取り組みに水を差すことになる」と発言。逆にEU加盟国のマルタや英国の海外領土などをブラックリストに加えるべきだとの考えを示した。

上部へスクロール