保険大手エルゴがIBMと合弁、販売停止の生保契約管理へ

ミュンヘン再保険の元受子会社エルゴは22日、IT大手の米IBMと合弁会社を設立することで合意したと発表した。新規販売を停止した古典的な生保契約およそ600万件を最新のITプラットフォームで管理し、管理コストを削減することが狙い。同プラットフォームでは中期的に競合の生保契約についても管理を引き受ける考えだ。新会社の出資比率、出資額、社名など契約の詳細は明らかにしていない。

欧州中央銀行(ECB)の超低金利政策が長期化していることを受けて、生保会社は運用に苦慮している。特に、一定水準の利回りを保証する古典的な生命保険は業績の大きな足かせとなっており、多くの企業はそうした商品の販売を縮小・停止し、運用リスクを顧客が引き受ける商品の販売に注力している。

古典的な生保商品の既存契約については、そうした契約を買い取る専門の事業者に売却する傾向が強まっている。エルゴもそうした商品の販売を2015年で打ち切り、昨年には既存契約の売却を検討した。だが、顧客や世論の批判を受けてこれを断念。IBMと手を組んで最新のプラットフォームを立ち上げ、管理する方針へと転換した。

新規販売を打ち切った生保契約の管理は特に小規模保険会社で大きな負担となっている。契約件数が徐々に減少していくことから管理効率が悪く、財務を強く圧迫するためだ。エルゴとIBMはそうした問題を抱える保険会社の代わりに管理を引き受け、規模の効果を引き出していく。

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