独自動車大手のダイムラーは2月24日、中国の自動車メーカー、浙江吉利控股集団(Geely)の李書福董事長がダイムラーに9.69%を出資したと発表した。ダイムラーは「長期的な関心を持った投資家を得たことを歓迎する」とコメントしている。
ダイムラーは株式の大部分が分散保有となっており、これまでの筆頭株主は6.8%を保有するクウェート政府(投資庁)だった。李董事長は9.69%の出資により、ダイムラーの筆頭株主となった。同社には、ルノー・日産アライアンスも3.1%を出資している。
ダイムラーは今回の発表で李董事長について、優れた経営能力と未来志向を持った中国の企業家で、産業の転換などについて建設的な議論ができる、と評価している。
■ アライアンス構築を計画か
中国資本がダイムラーの筆頭株主となったことでさまざまな憶測が広がっている。メディア報道では、浙江吉利控股集団がダイムラーに出資した理由について、テスラやグーグル、アップルなどの新しい競合が自動車業界に現れてきている中で、電気駆動車や自動運転車、新しいモビリティサービスの分野でアライアンス(提携関係)を構築したいのではないかとの見方もある。
ただ、浙江吉利控股集団はこれまでのところ、ダイムラーに対し具体的な共同プロジェクトの提案などはしていないもよう。また、李書福董事長は独『ビルト・アム・ゾンターク』紙のインタビュー取材に対し、「ダイムラーの価値観や文化を尊重している。監査役会の役員になりたいと申し出たことはないし、私にとって全く優先事項ではない」とコメントしている。
■ 浙江吉利控股集団、ボルボなどに出資
浙江吉利控股集団は2010年に米自動車大手のフォードからスウェーデン乗用車大手のボルボ・カーズを買収した。このほかにも、英タクシー製造のロンドン・タクシー・カンパニー(LTC)、英スポーツメーカーのロータス、マレーシアの自動車大手プロトンを傘下に持つ。昨年12月にはさらに、スウェーデンの商用車大手ボルボに資本参加すると発表。スウェーデンの投資会社が保有するボルボの資本の8.2%を取得することで合意した。