EU企業の14%が一部事業を英国外に移転、離脱に向けた準備が本格化

英国勅許調達供給協会(CIPS)が20日公表した調査リポートによると、英国にサプライヤーを持つEU27カ国の企業のうち、同国のEU離脱に備えて一部事業を既に英国外に移転した企業が14%に上った。さらにEU企業の11%が従業員の一部を英国外に異動させている。EUと英国は19日、離脱後の激変緩和のため、2020年末までを移行期間とすることで基本合意したが、既に企業の間でサプライチェーンを見直す動きが本格化している実態が明らかになった。

CIPSは2月上旬から3月中旬にかけて、EU域内に拠点を置く企業のサプライチェーン担当責任者2,418人を対象に調査を実施した。それによると、英企業もEU離脱に向けた準備に着手しており、大陸欧州にサプライヤーを持つ英企業の3分の1が部品などの調達先を国内で探していると答えた。また、離脱決定を受けたポンド安による輸入コストの上昇分を相殺するため、16年6月の国民投票以降に製品価格を引き上げた英企業が約3分の1を占めた。

■ACEA、型式認証制度の維持を要請

一方、欧州自動車工業会(ACEA)は19日、英国のEU離脱後も、型式認証の有効性を相互に認めるよう求める声明を発表した。EUと英国の双方に対し、部品や完成車などの通関手続きを可能な限り簡素化することも求めている。

EU域内で新車を販売するには、安全基準や環境基準、製造規定に適合しているかどうかの審査を受けて事前に認証を取得しなければならない。域内のある国で取得した認証はEU全域で有効だが、ACEAは離脱によってEUか英国のいずれかで取得した認証が他方で無効となった場合、自動車業界に大きな混乱が生じると指摘。離脱後も認証制度を現在の形で維持することが重要だと主張している。

一方、ACEAは離脱後に世界貿易機関(WTO)のルールに基づく関税(乗用車は10%、商用車は10%または22%)が課された場合、メーカーと消費者の双方に大きな負担がかかると指摘。「通関手続きが複雑になれば生産ラインが止まる恐れもある」と警告し、混乱回避に向けて調整を急ぐよう双方に求めた。

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