自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)が独投資会社プリベント・グループ系のサプライヤーからの調達を打ち切ったことが、プリベントの発表で4日、明らかになった。プリベントはVWへの部品供給を停止しVWの生産ラインを停止させたことで有名な企業。VWの今回の措置はこの時に受けた打撃に対する報復とみられる。
プリベントは2016年夏、VWに対しシートカバーと差動歯車枠の納入を拒否し、VWを一時、生産停止と操短に追い込んだ。VWは生産を再開するためにプリベントの要求を甘受したものの、これを教訓に部品の調達先を複数化。供給拒否に直面しても生産を継続できる体制を構築した。
VW自身は報復観測を否定している。同社は声明で、サプライヤーが安定供給を継続できるかどうかを定期的に調査していると指摘。プリベント系のサプライ―では供給に支障が出る恐れがあったため、契約を打ち切ったと強調した。
プリベントはVWの措置を違法だと批判しており、裁判で争う構えだ。
同社はボスニアの事業家ハスター家の投資企業で、ESアウトモビルグス、カートリムなど複数のサプライヤーを傘下に持つ。自動車シート大手の独グラマーに対しても昨年5月の株主総会で役員解任と乗っ取りを画策した経緯がある。グラマーではプリベントから攻撃を仕かけられていることから、自動車メーカーからの受注が大きく減少している。