EU司法裁判所は10日、フランスの裁判所がタクシーおよびハイヤー業に関する同国の法律に基づき、米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズに業務停止を命じると共に、現地法人の幹部2人に刑法上の罰則を科した判断を支持する判決を下した。司法裁は昨年12月、自社が展開する事業は「情報社会サービス」だとするウーバーの主張を退け、通常のタクシーと同じ「運輸サービス」に該当するとの判断を示しており、ウーバーにとっては再び厳しい判決が言い渡された。
ウーバーは創業翌年の2012年に欧州市場に進出し、営業免許を持たない一般のドライバーを活用した配車サービス「ウーバーポップ」の提供を開始した。スマートフォンのアプリを介してドライバーを手配し、低料金で客を送迎する同サービスは急速に浸透したが、ウーバーにシェアを奪われたタクシー業界が猛反発し、各地で訴訟に発展。現在は正規の免許を持つドライバーを使った配車サービスに軸足を移している。
今回の事案は、フランスで2015年1月に施行されたタクシーおよびハイヤー業の営業に関する法律(通称テブヌー法)に基づき、パリの刑事裁判所が16年6月、ウーバーと同社の幹部2人に対して罰金を科した判決を不服として、ウーバーの仏法人が訴えを起こしたもの。ウーバー側は自らを情報社会サービス企業と位置づけ、EU域内で展開される情報社会サービスを加盟国が独自に規制する場合、事前に欧州委の承認を得なければならないと指摘。欧州委の承認を得ずに導入されたテブヌー法はEUのルールに違反すると主張し、判決の無効化を求めていた。
司法裁はウーバーの事業はタクシーと同じ輸送サービスにあたるとの認識に基づき、「加盟国は法案について予め欧州委に届け出る必要はなく、違法な輸送サービスであるウーバーポップを差し止め、刑法上の罰則を科すことができる」と結論づけた。