ビールは「健康に良い」はEU法違反、最高裁が認定

ドイツ南部のヘルレ醸造所が同社製ビールを「健康に良い(ベケムリッヒ=bekoemmlich)」と宣伝していることは欧州連合(EU)法に抵触するとして消費者保護団体が停止を求めていた係争で、同国の最高裁である連邦司法裁判所(BGH)は17日、原告の訴えを認める判決を下した。アルコール飲料であるビールの宣伝に「ベケムリッヒ」の表現を用いることは認められないとしている。

ヘルレは「ヴォール・ベコムス(Wohl bekomms)!」という宣伝文句を1931年から使用してきた。「ベコムス」は形容詞ベケムリッヒの元となる動詞「ベコメン(bekommen)」の活用形で、「ヴォール・ベコムス」は酒や料理を出す際に「召し上がれ」といった意味合いで使われる。

同社はこの歴史を踏まえ、自社サイトの製品紹介でアルコール含有量5.1%、4.4%、2.1%の製品に「ベケムリッヒ」という宣伝文句をあてがった。この言葉には「健康に良い」「消化に良い」という意味合いがあることから、原告の消費者保護団体はEU法違反だとして提訴した。

BGHの裁判官は今回の判決で、アルコール含有量1.2%超の製品に健康に関した情報を示すことを禁じた「食品の栄養・健康広告に関するEU規制」4条3項の規定を指摘。健康関連の情報は製品ラベルだけでなく広告で用いることも禁じられているとして自社製品のビールをネット上で「ベケムリッヒ」として宣伝することは違法だとの判断を示した。

また、ベケムリッヒという語を「味が良い」という意味で用いたに過ぎないとするヘルレの主張に対しては、宣伝の受け手である消費者には「健康に良い」「消化に良い」といった意味で受け止められるとして、健康とは無関係の意味で用いたとする同社の主張を退けた。

上部へスクロール