リチウムイオン電池のアカゾールがIPOへ

リチウムイオン電池システム製造の独アカゾールは5日、新規株式公開(IPO)方針を発表した。車両の電動化などを背景に需要の急増が予想されるためで、市場資金を事業の拡大・強化に充てる。

IPOに向けて近日中に会社形態を有限会社から株式会社へと転換。採用基準が厳しいフランクフルト証券取引所のプライム・スタンダードへの上場を目指す。

IPOでは新株を発行するほか、同社株76%を持つ親会社シュルツ・グループ(自動車部品)も保有株を一部、売り出す。新株発行と売出しの規模は明らかにしていない。メディア報道によると、上場規模は1億〜1億2,500万ユーロに上るもようだ。

調達した資金はフランクフルト南部のランゲンにある工場の拡張、研究開発センターと米国工場の新設および買収に投じる。ランゲン工場は2017年の設立で、同社は年産能力を現在の300メガワット時から2倍の600メガワット時へと引き上げる計画だ。

スヴェン・シュルツェ社長は『ハンデルスブラット』紙に、中韓企業や金融投資会社から出資の申し出を受けたものの、こうした投資家が同社を「誤った方向に導く可能性」を懸念しIPOを決断したと語った。

同社はダルムシュタット工科大学の教員と学生が1990年に設立した非営利団体を出発点としている。営利企業となったのは08年。トラック、バス、電車、船舶など幅広い用途に製品を供給しており、顧客には自動車大手のダイムラーや鉄道車両大手のアルストム、ボンバルディアが名をつられる。

今年は売上高で2,200万〜2,400万ユーロ、営業利益(EBIT)で150万ユーロを見込む。受注残高が14億5,000万ユーロと極めて大きいうえ、今後の大幅な市場拡大も見込まれることから、売上高は今後4〜5年で3億ユーロを超えると予想している。

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