EU加盟国は13日開いた大使級会合で、域外からの直接投資に対する審査を強化するための法案の内容で合意した。中国企業による買収が相次ぐなか、ハイテク、インフラ、エネルギー、防衛など戦略的に重要な産業分野を対象に、欧州企業の買収や資本参加の審査基準をEU域内で統一し、安全保障や治安に関わる技術や情報の流出を防ぐのが法案の狙い。年内の新ルール導入に向け、EU議長国のブルガリアはただちに欧州議会との交渉に入る。
EU内では中国企業による買収が相次いでいるが、域外の企業による直接投資を審査するための国内法を整備している加盟国は28カ国中、現在12カ国にとどまっている。欧州委員会は外資規制の強化を求めるドイツ、フランス、イタリアなどの強い働きかけを受け、昨年9月に域外からの投資に対する審査強化案を提示した。
新システムではこれまで国ごとにばらつきがあった審査基準が統一され、欧州委と加盟国は安全保障や治安などの側面から域外企業による買収や資本参加を審査できるようになる。その際、域外企業にその国の政府が出資しているかどうかなど、第3国がどの程度関与しているかも見極める。
具体的にはまず、投資対象の企業が拠点を置く加盟国が予備的な審査を行い、欧州委と他の加盟国による審査が必要かどうかを判断。EU全体で情報を共有し、必要に応じて欧州委と他の加盟国が認可の可否について意見を伝えたうえで、当事国が最終判断する仕組み。加盟国は今回、EUレベルの審査対象となる産業分野を拡大し、メディアや不動産などのセクターをリストに追加することで合意した。