EUは21日にルクセンブルクで開いたユーロ圏の財務相会合で、8月に金融支援が終了するギリシャに対する今後の支援措置について合意した。同措置はギリシャが支援脱却後に自力で資金を調達し、財政を運営できるようにするため、債務負担を軽減して信用力を高めるのが狙い。これまでの融資の一部の償還期間を10年延長することが柱となっている。
2010年に深刻な債務危機に陥ったギリシャは、2010年から12年にかけてEUと国際通貨基金(IMF)から総額2,400億ユーロの金融支援を取り付け、財政再建に取り組んできた。その結果、14年には国債発行で資金を調達できる状態まで回復した。しかし、15年に反緊縮を掲げるチプラス政権が発足し、金融支援継続が不透明となったことで状況が悪化したため、2015年にEUが総額860億ユーロに上る第3次支援の実施を決定。これでようやく危機が沈静化し、今年8月20日に支援が終了することになっている。
合意したのは、支援脱却後も財政健全化の持続を可能とするための支援の枠組み。債務負担の軽減によってギリシャの信用力回復を後押しし、国債発行で財政運営に必要な資金を調達できるようにする狙いがある。
償還期間の延長は、第2次支援の融資が対象。期限を2023年から33年に延長する。利払いの10年先送りも認める。このほか、第3次支援の最後の融資として150億ユーロを供与することも決定。また、欧州中央銀行(ECB)やユーロ圏各国の中央銀行がギリシャ国債への投資で得た利益を22年6月まで毎年2回にわたってギリシャに還元することでも合意した。これによってギリシャは毎年、10億ユーロ程度を受け取る見込みだ。