中国のリチウムイオン電池大手、寧徳時代新能源科技(CATL)がドイツに建設するとされる工場から自動車大手のダイムラーがセルの供給を受けるとの観測が浮上している。ダイムラー社内の情報として4日付『ハンデルスブラット(HB)』紙が報じたもので、同社の社員は「わが社は中国人(CATL)と協議している」と語った。ダイムラーは報道内容へのコメントを控えている。
競合BMWは独南部のディンゴルフィング工場で生産予定の自動運転機能付き電気自動車(EV)「iネクスト」に搭載する電池のセルをCATLから調達することをすでに決めている。CATLがBMW向けセルをどこで生産するかは明らかにされていないが、独テューリンゲン州エアフルトが有力候補と目されている。HB紙によると、CATLは9日から2日間に渡ってベルリンで開催される独日合同閣議に合わせて正式発表するもようだ。
調査・コンサルティング大手IHSグローバルの電池市場専門家は、CATLは採算を取るために独工場の生産能力を最終的に15ギガワット時まで拡大するとの予想を提示。1ギガワット時のセルはEV2万5,000台の搭載量に相当するとして、その15倍の工場を運営するためにはBMW以外の顧客メーカーが必要になるとの見方を示した。
ダイムラーは超小型車「スマート」のEVモデル向け電池セルを韓国のLG化学から調達している。来年から生産開始予定の電動車専門ブランド「EQ」では韓SKイノベーションのセルを採用する。調達先が増えれば増えるほど競争原理で調達価格が低下することから、調達先にCATLを加えることはコスト戦略にかなっている。
欧州でセルを大量生産する企業は現在、LG化学とサムスンSDIの韓国2社にとどまる。スウェーデンの新興企業ノースボルトは20年に年産能力8ギガワット時の工場を立ち上げ、23年には同32GWhへと拡大する計画だ。