英議会がEU離脱法案を可決、メイ首相が造反封じ込め

英議会で20日、欧州連合(EU)離脱に伴い現在受け入れているEU法を国内法に置き換える離脱法案が成立した。エリザベス女王の裁可を経て成立する。上院では与党保守党の新EU派が求めていた修正案が可決されたが、最終的にメイ首相が造反の動きを封じ込めることに成功し、離脱に向けた重要な手続きが一歩前進した。

英国ではEU離脱に伴い、現在適用されているEUの法令が失効するため、新たな法整備が必要になる。離脱法はその手続きを規定するもので、EUの前身である欧州共同体(EC)に加盟する際に制定された「1972年欧州共同体法」を廃止し、既存のEU関連の法令を国内法に置き換える内容。EUが「指令」として制定した法令は、すでに国内法化されているため対象外となる。その他の約1万2,000に上る法令が置き換えられる。

保守党の親EU派は離脱交渉が決裂し、EUとの合意がない状態での強行離脱を回避するため、下院が政府に離脱の先送りなどを指示できるようにする修正案を提案していた。18日の上院では修正案が可決されたが、メイ首相は造反を防ぐため、交渉が決裂した場合は議会で審議できるようにすると約束した。これを受けて20日の下院では、親EU派の主要メンバーが修正案に反対票を投じ、僅差の反対多数で否決。上院も下院の結果を承認し、離脱法案が通過した。

今回は親EU派への説得工作が奏功した格好だが、今後も離脱に向けた法案審議が続くことになる。移民や関税など重要な課題をめぐる法案審議では調整が難航することが予想され、メイ首相は与党内の強硬派と親EU派の間で引き続き難しいかじ取りを迫られそうだ。

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