欧州航空機大手のエアバスは21日、英国の欧州連合(EU)離脱交渉が不調に終わった場合、拠点とする英国での事業を抜本的に見直す可能性があると警告した。離脱の条件がまとまらないまま2019年3月の期限を迎えた場合、拠点の縮小や撤退を検討せざるを得ないとしており、英政府に対して早期に離脱条件をまとめるよう求めている。
エアバスは英国内25の拠点で約1万5,000人を雇用している。英国への投資を抜本的に見直して事業を大幅に縮小した場合、4,000社を超えるサプライヤーの従業員およそ11万人に影響が及ぶ恐れがある。
エアバスは声明で、離脱期限までに交渉がまとまらなかった場合、「英国に拠点を置く航空会社は現行の規制や認証制度の対象外となる」ため、現在の生産体制を維持することは困難になると指摘。さらに交渉決裂という最悪の事態を回避できた場合でも、20年末までの「移行期間」に未解決の問題を片づけることは極めて困難で、「どのような展開になっても当社はマイナスの影響を受ける」とし、EUと英国が新たな通商協定で合意するまで「英国での新規投資に細心の注意を払う必要がある」と強調した。
エアバス商用機部門のトム・ウィリアムス最高執行責任者は「これがエアバスが直面している現実だ。合意なしのEU離脱は英国事業の将来を直接脅かすことになるだろう」と述べた。
一方、独高級車大手のBMWも22日、今後2~3カ月以内に離脱条件が明確にならない場合、「緊急時対応計画」を策定する必要があると警告した。関税手続きや認証制度などに関する新たなルールが見通せない状況が続いた場合、ドーバー海峡をまたいだ巨大サプライチェーンを維持することが困難になると指摘。英政府に対し、早急に離脱条件をまとめるよう訴えた。