中国EC2位が独市場進出へ

中国電子商取引(EC)2位の京東商城がドイツ市場に進出する。創業者の劉強東最高経営責任者(CEO)が『ハンデルスブラット(HB)』紙に明らかにしたもので、まずは年内にも事務所を構える予定だ。中国EC最大手のアリババも独市場参入の準備を進めているもようで、同市場最大手の米アマゾンや現地資本のオットー、ツァランドは対応を迫られそうだ。

劉CEOは「これまでのようにドイツの商品を単に中国で販売するだけでなく、今後は欧州でも商品を販売したい」と述べた。現在は市場開拓戦略の詳細を詰めている段階だ。

HB紙によると、アリババは独市場参入観測を否認しているものの、すでに物流センターをドイツとの国境に近いベルギー東部のリエージュに建設している。また、同社が出資する物流企業4Pエクスプレスは年内にもプラハ近郊に倉庫を開設。同倉庫からドイツ向けの商品輸送を行うという。

京東商城も欧州市場参入に向けて物流インフラを構築しているもようだ。独物流大手フィーゲの関係者は同紙に、欧州では用地と人材が不足しているため、物流インフラを自らすべて構築するのは難しいと指摘。中国で独自の物流インフラを持つ京東商城も当地ではアウトソーシングか買収を行わざるを得ないとの見方を示した。

コンサルティング大手アクセンチュアでEC分野のコンサルティングを手がけるオーラフ・ロータックス氏は、京東商城は独物流大手DHLないし競合ツァランド、オットーを買収する可能性があるとの見方を示した。劉CEOは「チャンスがあれば活用したい」と述べ、買収の可能性を排除していない。

ドイツの消費者向けEC市場ではアマゾンがダントツの1位で、昨年の売上高は87億7,000万ユーロに上った。2位はオットーで31億1,000万ユーロ。これにツァランドが12億9,200万ユーロで続いた。

ロータックス氏は、京東商城はアマゾンが比較的弱いファッションなどの分野で独市場参入を果たし、その後に取扱商品分野を拡大してくべきだとの見解を示した。

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