無秩序な離脱で年12億ポンド超の損失、ジャガーが離脱条件の明確化を要求

インド自動車大手タタ・モーターズ傘下の英ジャガー・ランドローバー(JLR)は4日、英国の欧州連合(EU)離脱交渉が不調に終わり、通商協定がまとまらないまま2019年3月の離脱期限を迎えた場合、年12億ポンド以上の損失が生じる恐れがあると警告した。実質的な交渉期限の10月が迫る中、英政府に対して早急に離脱条件を明確にするよう求めている。

JLRは英国で約4万人を雇用しており、部品メーカーやディーラーなどを含めると約30万人の雇用を支えている。大陸欧州での販売台数が全体の約2割を占める一方、使用する部品の約4割を大陸欧州から輸入している。

ラルフ・スペッツ最高経営責任者(CEO)は声明で、現在の生産体制を維持するには「無関税の貿易と単一市場への無制限のアクセス」が不可欠だと強調。「当社は過去5年間に英国で約500億ポンドの投資を実施しており、今後5年間で800億ポンドの投資を計画しているが、無秩序な離脱に陥った場合は投資計画を抜本的に見直さざるを得ない」と述べた。

離脱条件をめぐるEUとの実質的な合意期限が10月に迫る中、欧州航空機大手エアバスは6月下旬、離脱交渉が不調に終わった場合、英国内の拠点の縮小や撤退を検討せざるを得ないと警告した。独高級車大手BMWも今後2~3カ月以内に離脱条件が明確にならない場合、「緊急時対応計画」を策定する必要があると指摘。独シーメンスも英国が合意に至らないままEUから離脱する事態になれば、英国事業への投資を抜本的に見直すことになると警告し、英政府に対して早期に離脱条件をまとめるよう求めている。

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