テスラ顧客に環境対応車助成金の返還命令

米テスラの電気自動車(EV)「モデルS」を購入した顧客に対し、支給した環境対応車助成金を返還するよう所轄官庁の連邦経済輸出監督庁(BAFA)が請求している。ロイター通信が広報担当者の情報として18日に報じたもので、返還命令を受けた顧客は800人に上る。同社はこれを不当として裁判で争う構えだ。

ドイツでは環境対応車の普及を加速させるために、EVとプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)の購入者に助成金を支給するルールが2016年7月から始まった。1台当たりの助成額はEVとFCVで4,000ユーロ、PHVで3,000ユーロ。カタログ価格で6万ユーロ以下の車両が助成対象となっている。

テスラではモデルSの「ベーシックモデル」が16年秋から助成対象リストに登録されるようになった。カタログ価格が5万8,000ユーロに設定されたためだ。モデルSの他のモデルと異なりナビゲーションやバックアップカメラ、車線逸脱防止支援システムが装備されておらず、低価格の設定とするために装備を大幅に省いている。車線逸脱防止支援システムなどが装備されている「コンフォートモデル」では価格が約13万に上る。

自動車専門誌『アウト・ビルト』の調査員が覆面調査で昨年、モデルSのベーシックモデルを購入しようとしたところ、販売店の店員は、ベーシックモデルは助成金を確保するために便宜上、売り出した車両であり、実際にはオプション装備契約を別途、結ばないと販売できないと回答した。一般の消費者も同様の経験をしたという。

BAFAはこうした事実を踏まえ昨年11月30日、モデルSを助成金対象車リストから除外した。

これを受けてテスラが改善策を取ったことから3月6日付でリストに再採用したものの、それ以前にモデルSのベーシックモデルを購入した顧客は助成金の返還命令ないし助成金申請の拒否回答を受けた。拒否回答を受けた顧客は250人に上る。

テスラは該当顧客に助成金相当額を支払う意向を表明している。

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