シーメンスがカンパニー制へ移行

電機大手の独シーメンスは1日、今後10年を見越した新経営戦略「ビジョン2020+」を発表した。事業部門を分社化するカンパニー制の全面採用が柱。既存と新設の各カンパニーに大きな裁量を与え、成長を加速する狙いだ。ジョー・ケーザー社長は、デジタル化の深化を受けて経済が急速に変化する時代を「生き残るのは大企業でなく、最も適応能力の高い企業だ」と指摘し、市場や需要の変化に柔軟かつ迅速に対応できるようにするために組織を再編すると説明した。

同社は事業を「事業会社(オペレーティング・カンパニー)」と「戦略会社」に再編する。事業会社は「ガス・アンド・パワー」「スマート・インフラ」「デジタル・インダストリー」の計3社で、シーメンスの100%傘下の事業を統合することになる。

戦略会社は出資比率が100%未満の連結子会社で、医療機器のシーメンス・ヘルシニアーズ、風力発電設備のシーメンス・ガメサ、および仏アルストムと共同設立予定の鉄道車両・設備合弁シーメンス・アルストムの3社。

同社はこのほか、金融サービス部門を「グローバル・ビジネスサービス」「不動産サービス」事業とともに新設の「サービス会社」へと統合する。また、グループ全体の研究開発事業と出資先の中小企業を「コーポレート開発」部門へと統合する。シーメンス本体は大幅にスリム化され、業務を財務、法務・コンプライアンス、人事などの分野に絞り込む。

同社はこれらの措置により、業績拡大を加速する考えで、売上成長率と売上高営業利益率目標を引き上げた。それぞれ従来目標よりも2ポイント高い4〜5%、13〜14%を目指す。IoTサービス、分散型エネルギー管理、エレクトロモビリティ用インフラなど新しい成長分野への投資を通して成長を押し上げる考えも明らかにした。

新体制への移行は新年度が始まる10月1日に開始し、来年3月末に完了する予定だ。

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