デンマークの海運大手APモラー・マースクは17日、海洋掘削事業のマースク・ドリリングをグループ本体から分離し、2019年にナスダック・コペンハーゲン市場に上場させると発表した。同社は原油安などで業績が悪化しているグループの経営を改善するため、最大の収益源である運輸・物流部門に経営資源を集中させる取り組みを進めており、今回の決定もそうした戦略の一環。マースク・ドリリングの分社化により、APモラー・マースクはおよそ12億ドルの現金収入を得る見通しだ。
APモラー・マースクは2年前、コンテナ海運世界最大手のマースク・ラインを中核とする運輸・物流部門と、石油開発や掘削、タンカーなどエネルギー部門の2つに分割する再編計画を発表した。エネルギー部門については昨年8月、石油子会社マースク・オイルを仏石油メジャーのトタルに74億5,000万ドルで売却することで合意。9月には石油タンカー子会社のマースク・タンカーズを筆頭株主であるAPモラー・ホールディングスに売却すると発表した。
マースク・ドリリングに関しては売却も検討していたが、条件が折り合わなかったため、分社化する方針を決めた。アナリストらは当初、同部門の売却額をおよそ48億ドルと見積もっていた。
APモラー・マースクのソレン・スコウ最高経営責任者(CEO)は「マースク・ドリリングの分離・上場を以て、2年前に着手した事業分離はほぼ完了する。まだやるべきことは多く、今後は中核事業に集中できることをうれしく思う」とコメントした。