日本電産は3日、小型精密減速機製造の独MSグレスナーを買収したと発表した。精密減速機分野で製品と事業地域の幅を拡充する狙い。急速な成長が見込まれるロボット産業関連市場からの需要を積極的に取り込む考えだ。
子会社・日本電産シンポの独法人Nidec-Shimpoを通して完全買収する。買収金額は明らかにしていない。
グレスナーは西南ドイツのデッテンハウゼンに本社を置く企業で、従業員数は166人。2017年12月期の売上高は2,180万ユーロ、営業利益は210万ユーロで、営業利益率9.8%だった。
日本電産シンポが取り扱う主な減速機は精密遊星減速機で、特に入力軸と出力軸が同一方向の「同芯軸型」製品を得意としている。販売地域は日本・中国などのアジアとアメリカ大陸が中心となっている。
一方、グレスナーは入力軸に対し出力軸が直角方向にある「直交型」の精密減速機を得意としている。販売地域もドイツを中心とした欧州であることから、両社は製品、事業地域面で補完性が大きい。
日本電産シンポは今回の買収により、精密遊星減速機(同芯軸+直交)の全種を持つことになるほか、遊星減速機の大市場である欧州でグレスナーの販売網を活用できるようになる。近年開発したロボット用揺動減速機をグレスナーの独シュツットガルト工場で製造することも視野に入れている。
グレスナーは日本電産シンポのアジア・アメリカの製造拠点と営業・サービス網を活用してこれらの地域で自社製品の販売を強化する。