研究開発費の税控除を化学工業会が要求

独化学工業会(VCI)は21日、企業の研究開発費に税控除を適用するよう政府に要求した。ドイツの研究開発立地競争力が相対的に弱まっているとみているためだ。経済協力開発機構(OECD)加盟国で同税控除制度がないのはドイツなど一部の国に限られると指摘。導入すれば大きなプラス効果が得られるとして税制見直しを促した。

ドイツの研究開発費の対国内総生産(GDP)比率は今年上半期2.9%となり、世界で7位にとどまった(グラフ1を参照)。首位イスラエルは同4.3%、2位韓国は4.2%に達しており、3位のスイス(3.4%)に比べても大幅に低い。VCIは研究開発費の税控除ルールを導入すれば、ドイツの同比率は3.5%に拡大するとしている。

VCIはまた、同ルールを採用する隣国オーストリアでは研究開発投資の半分以上を外資が行っていることを指摘。この結果、研究開発要員の雇用が創出されるため、所得税収入が増え、同税控除で目減りした税収のほぼ半分が相殺されていると強調した。

独化学・製薬業界の昨年の研究開発投資額は前年比3%増の108億ユーロとなり、過去最高を更新した(グラフ2を参照)。同額の拡大は7年連続。今年は110億ユーロに達する見通しだ。

化学・製薬業界の研究開発投資の対売上比率は2016年時点で5.7%に達し、製造業平均の3.8%を大きく上回った。同業界を上回ったのは自動車(7.6%)と電機(6.7%)の2業界のみで、機械は2.6%にとどまった。

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