排ガス検査厳格化で乗用車需要前倒し、8月新車登録+25%に

ドイツ連邦陸運局(KBA)が4日発表した8月の乗用車新車登録台数は前年同月比24.7%増の31万6,405台と大幅に伸びた。8月に30万台を超えるのは初めて。新排ガス検査方式をクリアしていない車両は9月から新車登録できなくなることを背景に需要が前倒しさられた格好だ。1~8月の新車登録台数は前年同期比6.4%増の247万3,284台だった。

欧州連合(EU)では排ガス規制が強化され、昨年9月1日以降に型式認定を受ける乗用車は実際の走行に近い排ガスデータが得られる台上試験「世界統一試験サイクル(WLTP)」と、実際に道路を走る際の排ガス量を測定する「実走行排ガス試験(RDE)」の2試験をクリアしなければならなくなった。今年9月1日以降に新車登録される車両はWLTP、来年9月1日以降に新車登録される車両はWLTPとRDEの両方に合格しなければならない。

多くのメーカーは従来の検査方式である新欧州ドライビングサイクル(NEDC)に比べて検査精度が高く、同じ車両でも排ガス測定値が高くなるWLTPへの対応に苦戦。WLTPをクリアしていない車両は8月末までに販売(ないし新車登録)しなければならないことから、新車登録が押し上げられた。

8月の新車登録を動力源別でみると、ガソリン車は32.6%増の19万6,425台と全体を上回る伸びを記録し、シェアは前年同月の58.4%から62.1%へと拡大した。ハンブルク市で走行制限が導入されるなど逆風続きのディーゼル車はWLTP の駆け込み販売効果で7.8%増の10万3,063台と拡大に転じたものの、シェアは37.7%から32.6%へと低下した。

伸び率が最も大きかったのは天然ガス車で、245.1%増の1,301台へと拡大。ハイブリッド車も84.8%増えて1万2,801台(シェア4.0%)となった。環境対応車向け購入補助金制度が適応されるプラグインハイブリッド車は31.1%増の3,431台、電気自動車(EV)は12.9%増の2,457台だった。

新車の走行1キロメートル当たりの二酸化炭素(CO2)排出量は平均131.8グラムで、前年同月を2.8%上回った。排気量が大きいSUVと、ディーゼル車に比べてCO2排出量が多いガソリン車の需要増が背景にある。

伸び率が最も大きかったブランドはルノーで、前年同月比101.9%増の1万7,865台と2倍強に拡大。セアト(92.7%増の1万7,220台)、ジープ(91.1%増の1,882台)、ジャガー(87.9%増の1,201台)、スバル(74.0%増の797台)、三菱(62.4%増の5,704台)、ポルシェ(60.8%増の3,161台)、ダチア(52.8%増の9,838台)も50%以上の伸びを記録した。

ポルシェ以外のドイツ車ではVWが46.2%増の6万3,632台、アウディが45.3%増の2万8,198台、スマートが32.2%増の3,150台と大きく拡大した。ミニは11.8%増の3,525台、フォードは7.4%増の1万7,810台、BMWは3.1%増の1万9,289台。オペル(5.2%減の1万7,609台)とメルセデス(10.9%減の2万3,764台)は前年同月を下回った。

スバル以外の日本車はトヨタ(13.4%増の6,836台)とマツダ(5.7%増の5,700台)が増加。レクサスは横ばいの203台で、その他のブランドはスズキが3.5%減の3,286台、日産が24.3%減の4,525台、ホンダが40.0%減の1,033台だった。

日本車以外の主な輸入ブランドは双竜(8.9%減の257台)、DS(10.6%減の288台)、テスラ(58.6%減の82台)を除いてすべて増加した。各ブランドの実績はシトロエンが31.0%増の5,137台、アルファロメオが24.5%増の625台、現代が24.1%増の1万775台、ボルボが24.0%増の2,779台、プジョーが18.4%増の5,372台、シュコダが17.7%増の1万7,218台、フィアットが14.1%増の7,034台、起亜が13.1%増の5,995台、ランドローバーが1.0%増の1,773台だった。

一方、独自動車工業会(VDA)が同日発表した8月の国内乗用車生産台数は31万400台で、前年同月を31%下回った。同輸出台数も34%減って23万4,000台となった。1~8月の累計は生産台数が前年同期比6%減の353万5,900台、輸出台数が6%減の273万1,000台だった。

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