独フォルクスワーゲン(VW)の商用車部門トラトン・グループが世界最大手メーカーへの浮上に向けた布石を相次いで打ち出している。17日には同社の欧州会社化(昨日の速報を参照)と日野自動車との協業・合弁合意を発表。18日には中国重型汽車集団(CNHTC)との協力関係を強化することを明らかにした。
トラトンは4月、日野との間で戦略的協力関係の構築に向けた合意書に調印した。世界市場でのプレゼンスを強化するほか、業界が抱える課題に共同で取り組む考えで、「物流/交通に関わるソリューション調査」「既存・将来技術」「調達」などの分野で協力を検討することを取り決めていた。
今回の合意は両社が共同検討を通して出した成果の第一弾で、◇電動パワートレインと電動車の開発協業◇調達のシナジー効果を引き出すための合弁設立(覚書レベル)――を取り決めた。
トラトンは大型商用車、日野は中型・小型商用車の分野に強く、両社は電動車・電動パワートレインの開発で相乗効果を見込んでいる。調達合弁は来年下半期の設立を目指す。
トラトンのアンドレアス・レンシュラー最高経営責任者(CEO)は「電動車/電動技術における協力と調達ジョイントベンチャーの設立に向けた協力は始まりにすぎません」と述べ、協力分野・関係の拡大に意欲を示した。
トラトンとCNHTCはそれぞれのトラック子会社MAN、中国重汽を通して2009年から協業関係にある。今回の合意では◇MANの中国市場向け大型トラックを開発するためにMANと中国重汽が合弁会社を設立する◇電動パワートレイン、電動車両、自動運転、バスの分野で技術協力の可能性を検討する◇シナジー効果の拡大を目指す――ことを取り決めた。中国の輸送需要拡大、排ガス規制強化、デジタル化に伴う課題に対応するのが狙いだとしている。
トラトンはこれまで主に欧州と南米に限られていた商用車事業をグローバル化し、同分野で世界最大手となることを目指しており、2016年には米同業ナビスターと戦略提携合意した。16.6%出資している。中国重汽にもMANを通して25%プラス1株を出資するなど、グローバル化戦略を着々と進めてきた。