「20年の電動車普及目標は達成できず」=諮問委

電動車の普及に向けた政府諮問機関「国家プラットフォーム・エレクトロモビリティー(NPE)」は19日、アンゲラ・メルケル首相に提出した報告書のなかで、電動車の普及台数を2020年末までに100万台へと拡大するとした目標は達成できないとの見通しを明らかにした。電動車は内燃機関車に比べて価格が大幅に高いうえ、航続距離、充電時間、充電インフラの密度の面でも弱みが解消されていないことから、購入助成金の交付制度にもかかわらず利用のすそ野が広がっていない。NPEは達成時期が22年に延びるとの見通しを示した。

政府は2009年、電動車の分野で世界の主導権を握るために、20年までに100万台を普及させるという目標を打ち出した。11年までを「市場投入に向けた準備期」、16年までを「市場の拡大期」、17年〜20年を「量産市場期」と位置づけた。だが、今年(18年)も残り3カ月強となった現時点で、量産市場期は到来していない。

普及を後押しするために、16年7月には電動車の購入助成金制度を導入した。助成対象となるのは電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)。助成額はEVで4,000ユーロ、PHVで3,000ユーロに上る。

同制度の効果で電動車の販売は急速に伸び、昨年の新車登録台数は前年比113%増の約5万5,000台へと拡大した。だが、国内で登録されているEVとPHVの総数は今年初時点で9万8,280台にとどまっており、20年までに100万台へと拡大するという目標は達成できない状況だ。

NPEのヘニング・カーガーマン委員長(元SAP社長)は、100万台目標を達成するまでは助成金による支援を継続すべきだと提言した。電動車のすそ野を広げていくためには、国の支援がなおも必要だとみている。

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